売れている?人気商品?ラップ口座(ファンドラップ)と投信乗り換え営業の功罪 元販売員の視点から

金融マン的気になるニュース

www.nikkei.com

コンピュータープログラムで算出した最適な資産運用法を指南する「ロボットアドバイザー(ロボアド)」の運用残高が伸びている。国内大手4社の残高は2月末で計1220億円1年間で4倍以上に膨らんだ。登場から2年が経過し、1000億円の大台を初めて上回った。手軽さを武器にIT(情報技術)に抵抗感がない若年層の資金を集めている。

Fintechの一つであるロボアドバイザーの運用残高がようやく1000億円を突破したようです。

もっとも資産運用というジャンルでは1000億円というのはまだまだ少額の部類で、記事中でも記載はありますが、同じ一任運用という投資スタイルの「ラップ口座」と比べると、昨年末時点で約7.8兆円のラップ口座に対してまだまだ肩を並べるには程遠い

私は以前証券会社に勤めていましたのでこの辺りは聞きなじみがあるのですが、あまり運用とかかかわりがない方はなにそれ?という言葉が多いと思います

全部ご説明しますと時間がいくらあっても足りないので、まず7.8兆円という巨額の資金を集めている「ラップ口座」に関してお話しさせて頂けたらと思います

私は当時ラップ口座の一種「ファンドラップ」を販売したこともありますのでそのあたり含めてご説明できたらと思います

ラップ口座とは

信託銀行や証券会社などの金融機関が個人のお客さまと、金融商品の分析等に基づいた投資判断を一任いただく投資一任契約を締結し、資産運用から管理までの一連のサービスをご提供するものです。

「ラップ口座」とは:三菱UFJ信託銀行

用語の説明にまたよくわからん用語が出てしまいすみません

こちらも補足します

投資一任契約とは
当事者の一方が、相手方から、金融商品の価値等の分析に基づく投資判断の全部又は一部を一任されるとともに、当該投資判断に基づき当該相手方のため投資を行うのに必要な権限を委任されることを内容とする契約(金融商品取引法)

http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=323AC0000000025&openerCode=1

要は何に投資するかという判断含め運用をお任せするサービスのことです

「運用全部お任せサービス」といった方がわかりやすいかもしれません

ラップ(wrap)とは「包む」という意味で資産をひとまとめにお任せするイメージを持っていただければいいかなと思います

もっとも通常は事前にどういった運用をするとかどのように成果を報告するとかご説明した上で、契約を結ぶので何もかもお任せではないですが

ラップ口座とファンドラップの違いは?

「ファンドラップ」はたまに聞くけど「ラップ口座」とどう違うの?と思われるかもしれません。基本ほぼ同じなのですが、ラップ口座のほうがやや定義としては広いです

ファンドラップはラップ口座のうち運用対象がファンド(投資信託)に限定されています。もともとラップ口座自体超富裕層向けのオーダーメイドサービスだったのですが、最低5000万円以上からと一般には手が出しずらいサービスでした(管理に超手がかかる為)それを投資対象をファンド(投資信託)に限定することで最低投資金額を引き下げ、誰でも買えるようにと生まれたのが「ファンドラップ」というわけ

ちなみにファンドラップ以外の(本来的な)ラップ口座もこっそり販売はしていてSMA(Separately Managed Account)と呼ばれています。各社様々ですが最低一億からとかざらなので余裕のある方はぜひどうぞ

急成長するラップ口座

https://www.quick.co.jp/3/article/12252

冒頭でもお伝えしましたが、現在運用残高が7兆円を突破しています

グラフをご覧になられます通り、ここ10年足らずで急激に伸びていることがわかります

さぞかし人気なんですねと思われるかもしれません

あえて言いましょう。「んな訳あるかい」

金融機関の営業が頑張って、もとい死に物狂いで売り込んでいるからです

ファンドラップ残高全体の約9割を占める大手8社(野村証券、大和証券、SMBC日興証券、みずほ証券、三井住友銀行、三井住友信託銀行、三菱UFJ信託銀行、りそな銀行)の残高合計は11月末時点で約6.8兆円(QUICK推計)となり、今年に入り過去最高を更新し続けている。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO25146960X21C17A2SHH000/

大和証券一社で25%のシェアがあり、野村はそれ以上と言われていますから、対面証券で半分以上の残高シェアを有していると言えそうです。つまりほとんどがネット経由の受動的な申し込みでなくゴリゴリ足で営業しに行って残高を増やしています

証券会社がラップ口座に力を入れる理由

私のいたところもラップ口座の力の入れようは半端なかったです

毎週のように新しいリーフレットやキャンペーンを用意し、営業員に(過大な)目標を課し、少しでも残高を積み上げようと(支店長とかが)気を吐いていました

なぜこれほどまで力を入れるのか、それにはちゃんと理由があります

もちろんお客様のことを考えての理由ではないです

悪名名高き「投信乗り換え売買(回転売買)」の功罪

投資信託の手数料には大きく分けて三つあります

販売手数料:販売時に金額に対して一定のパーセンテージ(大手金融機関なら通常3.24%(税込))で可算される手数料

例えば、100万円買ってもらえたとすると消費税込みで32400円の手数料を加えた1032400円がお客様の払う総額になります

信託報酬:簡単に言うと運用管理手数料。年換算で計算したものを日割りで毎日の価格から自動的に徴収されます

信託財産留保額:すごく簡単に言えば売却手数料。無いものもあります

これらのなかで一番金額がデカくて営業員の成績になるのは販売手数料です

ただこちら販売手数料の名の通り、販売時にしか計上されませんので、買って貰ってずっと持ってもらっても営業員には何も入ってこない為、面白くないわけです。

そんな中、次の新発売の投信を売って来い毎日どやされる

新しいお金を入金してもらって買って貰えれば問題ないですが、いつかはお客様も余力がなくなる。そうなったらノルマに困った担当営業員が何をするか、

「この投資信託はもう運用が悪くなったから売って、売ったお金でこの投資信託を買いましょう」とお勧めするわけです

そうすると新たに販売手数料が入ります

全面的に信頼してもらっているお客様や、押しに弱いお客様相手にこのような提案が蔓延し、営業数字を「作る」(営業現場ではこう言う)のに一躍買っていました

これがいわゆる乗り換え営業、酷いものでは何度も乗り換え、保有商品がぐるぐる変わっていく様から俗に回転売買なんて呼ばれました

もちろん、手数料をこすり取られたお客様の投資信託が儲かるはずもなく、訴訟含む全国的な問題となり、金融庁が金融機関に対して短期間での乗り換え売買、回転売買を厳しく取り締まるようになりました

mainichi.jp

さて困ったのは金融機関

株や預金なんかよりはるかに収益性の高い手段を封じられ、困った挙句考えた出した収益を稼ぐ手段の一つがファンドラップ(ラップ口座)です

ファンドラップ(ラップ口座)は投資一任契約によって、保有している期間中、安定してファンドラップフィー(管理手数料)が入ってくるような仕組みになっています。

わざわざ投信をぐるぐるしなくても収益が構築できるというわけ

初めは証券会社だけでしたが、味をしめた銀行含む各社こぞって参入し始めました

お客様の反応は

正直言ってあまり良くなかったです(人にもよりますが)

本来なら投資一任契約というのは忙しくて運用に手が回らないエグゼクティブなどをターゲットとしたサービスです

対面証券会社などの主要なお客様は引退後の高齢者

時間があるし、昔から株が好きだという方も多いです

そんな人にまとめてお任せしましょといってもあまり訴求力がない

第一運用していて面白くない

なかなか売るのは苦労しました

ファンドラップ(ラップ口座)は魅力的な商品か?

営業やってて言われるのはよく言われるのは

「そんなにいいと思うなら自分で買ったらいいじゃない」

というお言葉。私だったら買うか?

「買いません」

理由は一つだけです「割高な手数料を永遠に取られるから」

※補足しますとファンドラップ(ラップ口座)の仕組み自体は、現役世代など忙しい人向けには非常に便利なサービスです。しかし私の知識、余裕時間などを考慮すると、支払う手数料が割高だと考えるからです

ファンドラップの手数料について

年間でかかる運用費用(ファンドの選定など)

各社手数料(運用報酬)まとめ

N証券:

投資一任受任料+ファンドラップ手数料(ともに最大)

0.4104%(税込み・年率)+1.296%(税込み・年率)

D証券:1.512%(税込み・年率)

SMBCN証券:

ファンドラップ手数料+ファンドラップ投資一任報酬
0.972%(税込み・年率)+0.324%(税込み・年率)

MSS銀行:

1.512%(税込み・年率) 

MS銀行:

残高手数料率+ 投資顧問料率

1.134%(税込み・年率)+0.378%(税込み・年率)

R銀行:

1.2960%(税込み・年率)

※成果報酬と固定報酬制がある場合は固定報酬制、投資金額に関しては最低金額を投資したとして調査(2018年3月27日現在)

※投資条件、コースによって手数料が異なる可能性もありますので、もし投資をご検討される際は実際にHP等でご確認ください

各社料金体系が色々あってかつ結局いくらかすごくわかりずらい…

あくまでご参考程度にしてください

平均年1.5%程度かかる模様です

対面証券の投資信託の販売手数料の3.24%に比べたら少ないですが、毎年かかることをお忘れなく

手数料はこれだけではありません

この手数料はあくまで中身の投資信託をセレクトするための料金(運用報酬)

中身の投資信託自体の管理費用=信託報酬は別途かかります

(こちらは日割りで間接的ですが実質的に費用負担しています)

その金額が以下

各社手数料(信託報酬)まとめ

N証券:1.35%±0.70%(概算)(最大、税込み・年率)

D証券:0.77%~1.41%(概算)(税込み・年率)

SMBCN証券:

2%程度(最大、年率)

MSS銀行:

0.918%(最大、税込み・年率)

MS銀行:

2.20%(最大、税込み・年率)

R銀行:

0.27%~0.648%(最大、税込み・年率)

※信託財産の純資産総額に対しての信託報酬(2018年3月27日現在)

※投資条件、コースによって手数料が異なる可能性もありますので、もし投資をご検討される際は実際にHP等でご確認ください

 組み入れる投信によって振れ幅デカいですが、中央値年1%程度といったところでしょうか。

つまりファンドラップを保有していることによってかかるコストはおおよそ投資金額に対して年2.5%程度となります

(※信託財産留保額に関してはかからないものもある為、今回除外しました)

これを多いと見るか少ないと見るか

私は「多い」と思います

手数料の少ない投資信託のすすめ

投資信託にはノーロード投信というネットで購入する、購入時の手数料がかからない投資信託が数多くあります

例えばマネックス証券で売上二位(2018年3月27日現在)のこちらの投信の手数料は以下の通りです(※適当に取ってきました他意はありません)

投資信託 ニッセイ日経225インデックスファンド/マネックス証券

申込手数料率(購入手数料)(税込):なし

信託財産留保額:ありません

信託報酬率(年率・税込): 純資産総額に対して 0.27%

こちらの場合年間の保有コストは信託報酬だけの0.27%となりますから、同じようなのを組み合わせて運用した場合、単純な保有コストはファンドラップの10分の1程度となります 

投資のコストについて

一流の投資家でも将来何が起こるかは予想がつきません

凄腕ファンドマネージャーと呼ばれる人でも、サルがダーツで選んだ株式リストに運用成績で負けるというのは有名な話

将来の運用成果はわからなくてもコストについては確実に少ないほうが数字的に運用成績は上がります。投資の神様ウォーレン・バフェットも手数料の少ないファンド(インデックスファンド)での運用を推奨しています

どうしてもこの人の運用するファンドに託したいなど特別な理由がない限り、手数料は第一に考慮すべき要素だと私は考えます

おまけ

もちろん上のやり方は株式相場の状況に合わせて、ファンドの量を調整したりということは自分でやらなければいけませんのでその人次第です

私は自分である程度管理できるかなーと思うのでわざわざお金を払ってまでやってもらいたくないというだけですので…

手数料、高いと見るか安いと見るか、ご検討の際はぜひお店に行く前にお調べになった上でご判断いただけますと筆者として幸いです

まとめ

・売れているのか、売っているのか

・黙ってても売れるものは売り込む必要はない

・CM製作費は手数料から

・運用コストはボディブロー。じわじわ効く

・何事も手間をかけたくなければお金が必要

・投資は楽しく

 

ではでは

 

 注:記事内容に関して、正確性保持のため細心の努力をしておりますが、本サイトの投稿する情報を参考にした行動に関して一切の責任を負うものではありません