Uberを打ち負かした東南アジアのメガベンチャー「グラブ(Grab)」とその理想

Uber使ってみたかった…

シンガポールに行ったとき流行りのライドシェアアプリUberを使ってみたかったのですが、電話番号での確認のショートメッセージ受信が必要とのこと

短期滞在だしとSIMを買っていなかった為、泣く泣く断念しました(SIM買えよ)

日本の岩盤規制「白タク行為」

日本でも挑戦してみたいと思っているのですが、基本的に国交省の許可を得ず、有償で乗客を乗せる行為は「白タク行為」として禁止されているそうです

www.nikkei.com

規制緩和の声も一部にはあるそうですが、

2011年(平成23年)時点でも34万人のタクシー運転手がいて、雇用維持の為、業界団体も断固反対を表明しているのでなかなか進まないのが現状のようです。

toyokeizai.net

http://www.taxi-japan.or.jp/pdf/toukei_chousa/jyuugyouin_suii.pdf

私はたまにしかタクシーに乗らないですが、ごくまれにものすごい運転が荒かったり、道迷ってない?っていう運転手もにいらっしゃいます。

一部の著名人の方の中でも現在のタクシーのサービスに不満を頂いている方も

ホリエモン

田端信太郎さん(Line元執行役員)

ちょっとお二方は口が悪い気もします。。。

もちろん優良なドライバーの方が大多数でしょうが、そういう感想を持たれた方も一部にはあるということだと思います

厳しいようですが現在のいわば雇用を守る為に規制を維持しようというのはやや不自然な状態なように思います。本当に自分の運転の安全性やサービスに自信があるというのならUberの顧客レビューで高評価を取ることで賃金の維持も可能なように思えますし、シンガポールや台湾ののタクシー運転手はみなスマートフォンでのナビを使いこなしていて、日本のたどたどしいナビの操作の運転手よりは利便性が高いように思えます

世界67ヶ国、360都市以上で事業展開し既存のタクシー運転手を震え上がらせているUberですが、東南アジアでガチンコ勝負して撤退させた企業があります

jp.wsj.com

グラブ(Grab)という企業です

こちらの企業について以前から興味があったので、自分の勉強がてらまとめました

グラブ(Grab)とは

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https://www.myanmore.com/yangon/2017/08/4-things-might-not-know-grab-mya

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https://www.japantimes.co.jp/news/2017/06/07/business/corporate-business/uber-rival-grab-hunts-new-deals-softbank-funding/#.WrG6mujFLIU

概要

展開事業:配車アプリの運営、相乗りサービス、配送サービス

事業規模:ドライバー数:260万人以上、アプリダウンロード数:8600万件

事業展開国:マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム、インドネシア、ミャンマー、カンボジアの世界8か国、191都市

当初は配車アプリからのスタートでしたが、Uberと同じように食事のデリバリーサービスや支払いサービスへとその業務の幅を拡大してきています

昨年にはソフトバンク、中国の滴滴出行(ディディチューシン)、韓国自動車大手ヒュンダイなどから総額25億ドル(約2,700億円)を調達し、この資金調達に基づく企業評価額は60億ドルと、東南アジアのテック系スタートアップでは最高額とのことです

使い方

基本的にはUberと変わらないようです

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①迎えに来る場所と、降りる場所を入力し、計算された料金を確認

②Grabが近くのドライバーを手配

③ドライバーの場所を連絡。どれくらい到着にかかるかをリアルタイムに計算

④目的地まで乗車。領収書はメールで。料金はクレジットで決済(現金も可)

https://www.grab.com/sg/taxi/

料金は国に寄りけりなようですが、通常のタクシーより割安なようです

Grab利用のメリット

Uberと同じですが従来型のタクシーと比較してメリットが大きく3つほどあります

①あらかじめ提示された料金以上のところはかからない

日本ほど公共交通機関が発達していない東南アジアではタクシーでの利用が主な交通手段になると思いますが、経験上タチの悪い運転手も多いです(もちろん陽気で素敵な運転手もいます)10倍近い料金をぼったくられたこともありますし、いかがわしい店へしつこく客引きする運転手も多いです。旅の予算も限りがある中、あらかじめどれくらいかかるかわかるのは非常にありがたいサービスです

②アプリで配車状況がリアルタイムに確認可能

直近のシンガポールでの経験ですが、朝タクシーで移動しようと思ったら「Hired」(乗車中)のタクシーばかりでまあ捕まらない。おかげで少し遅刻してしまうという事態になりました(向こうは誰も気にしていませんでしたが(笑))捕まえてからも料金交渉などをしないといけなかったりでなかなか目的地に移動できないなんてこともしばしばあります

③道順が明確

新興国あるあるですが、行きたいとこの場所が言葉で通じない、挙句には地図でここといっても地図を読めない方も多くいらっしゃいます。あらかじめ目的地がドライバーに伝わっていれば余計な説明の手間も不要ですね。

グラブ(Grab)のすごいところ

ドライバーの品質チェック体制

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https://www.grab.com/sg/

Uberとビジネスモデルが似ているGrabですが、Uberが一般の人が誰でも運転手になれるのに対してGrabではすべてのタクシードライバーと直接面談を行い、営業用自動車免許の確認、自動車登録証明書のチェック、車体の状態やメーターの動作確認などを徹底して審査しているそうです。また地域により品質マネジメントシステムの要件基準であるISO9001を取得しているなど

HPにはこんな言葉ありました

Safe enough for us to trust our own mothers, sisters, and daughters to use.

私たちの母親や姉妹、娘が信頼して使えるくらい十分な安全性を。

(同社HPより)

超カッコいいですね

独特なビジネスモデル

Grabは新しい市場(国)に進出する際、まずその国のドライバーにスマートフォンを買い与えるそうです。彼らがそれを使って業務に従事し、利用料から分割払いで返済するというビジネスモデルを構築しています

それには更にそのスマートフォンでアプリでドライバーを教育するという利用もでき、一石二鳥というわけです

従業員想い

盗難されるかもしれないリスクを冒して高価なスマホを融資するということもかなり思い切ったやり方だと思いますが、他にも従業員の為に様々な制度を用意しています

HPに書いてあったことが結構いい事言っていたのでいくつか引用します。

私たちは私たちのパートナーの生活を向上させたいと考えています

だから私たちは私たちのドライバーを労働者や契約者と呼ばずパートナーと呼んでいます。そして私たちはあなたたち(パートナー)に人生の選択肢を持つのに十分なお金を稼ぐための手段を提供したいと考えています。

もちろん私たちは収益を得たいとも考えています。

しかしそれらはあなたたち(パートナー)の負担であってはいけません。

We want to improve the lives of our partners.
That’s what we call our drivers. Not workers. Not contractors. But partners. And we want to give you a way to earn enough to have options in life. We want to make a profit, yes. But never at your expense. 

 

起業家

本質的に、すべてのパートナーは彼ら/彼女ら自身の為に働いています。それは小さな企業体であなたの金融的自由を獲得する手助けをするでしょう。
Entrepreneurs
In essence, every driver partner is working for him/herself. It’s a small enterprise that will help you achieve financial freedom.

 

トレーニング

私たちは私たちのパートナーにただもっと稼ぎたいというだけでなく、彼ら自身でなりえる限りの良い運転手になってもらいたいと考えています。
Training
We want our driver partners to be the best drivers they can be. Not just so you can earn more…

 

私たちは家族です。

私たちにとって私たちのパートナーの人生の一部となることは大変な名誉です。だからこそ私たちはあなたたち(パートナー)が良い車を所有することや引退への備えやあなたたちの子供たちへ特別な教育を受けられることを手助けするプログラムを作りました。
We’re Family
It’s a privilege for us to be a part of our driver partners’ lives. That’s why we created programs to help you own better cars and prepare for your retirement, or provide special classes for your children.

どっかの元某居酒屋経営者に読ませたいくらいのいい言葉だなーと思いました

グラブでは運転手とお客さんに無料の損害保険を提供しています。急激な発展により交通量も増加し、東南アジアでは年間約31万6000人が交通事故の犠牲になっているとのこと。現地の運転は日本の首都高が可愛く見えるくらいすさまじく荒いです。

タクシー配車アプリのグラブ、運転手・客に無料傷害保険 :日本経済新聞

従業員を大切にしたいという思いが伝わります

 今後の事業戦略

大目標として「2020年までに東南アジアに1億のマイクロ起業家(Micro-entrepreneuts)を作る」ということを目標に掲げています

今はやりの社会的問題を解決を目的とする「社会的企業」のような目標。キレイゴトと言われるかもしれませんが、現地の人々に自助努力を促し、生活に明らかにプラスの影響を与えており、企業として素晴らしい目標のように思います

クレディセゾンとの提携、金融子会社Grab Financialの設立

既にGrabではチャット機能「Grab Chat」、支払いアプリ「Grab Pay」などの提供の発表をしていますが、今月(2018年3月)日本のクレジットカード会社クレディセゾン及びCHUBB(米国保険大手)と提携してジョイントベンチャーGrab Financialの設立を発表しました

概要

Grabアプリ利用者の収入や日々の支払い状況、また荒い運転をしていないかなど様々な情報を集め、ビックデータとして分析し、各人の信用情報を格付け。既存の金融機関と比べて低利の融資を提供するというもの。

背景

経済発展したとはいえ東南アジアの大部分の人は銀行預金口座を持っていなかったり、持っていたとしても日常に使用していないような状況にあります

大手会計事務所KPMGの調査によると東南アジアにおいては27%しか銀行口座を持っていないとのデータもあります

Grabはそのような人たちにローンや保険を提供しようと計画しています

https://techcrunch.com/2018/03/13/grab-financial-services-southeast-asia/

Financial inclusion(金融包摂)

金融業界でFinancial inclusion(金融包摂)という言葉が最近話題になっています

銀行口座を持つことが出来ず、信用情報(収入や支払い状況など)のデータがなく既存の金融機関の枠組みから無視されてきた人々に金融サービスを提供しようという考え方です。これの何がすごいかというと、今まで自家用車をローンで購入できなかったり、自分の事業の資金の融資を受けられなかったり、奨学金融資を受けらず高い教育が受けられなかったりしてきた人たちが金融サービスを受けることができ、豊かな生活を享受できる可能性が開かれることにあります。

もちろん既存金融機関がまだ手出しできなかった領域であり成功したら莫大な利益を得ることが出来るという狙いもありますが、金融にかかわる身としてリスクを取りながら金融を通じて社会に貢献するという仕事冥利に尽きるような事業をぶち上げるGrabに対して羨望の気持ちを抱きました

私もいつか形は違えどいつかこんな仕事を提供出来たらなと思います

かなり感情入ってしまいすみませんでした。自己満足です

まとめ

・民泊も相乗りもとりあえず導入してみて問題が出たら対応したら

・どんな正論も丁寧に

・ベトナムの空港のゴリラみたいなタクシードライバー、てめーは絶対許さん

(そのあとやさしい商店のおばちゃんに助けられましたのでベトナムは大好き)

・自分の家族に誇れる仕事を

・きれいごとに共感し、人は動く

 

ではでは