元証券マンの、最近の証券会社こぼれ話「株は売らずに売らせろ!」

日本株は昨日大きく下落しました。日経平均終値は2.6%安の2万2682円。年初来安値。といっても今年はまだ一か月しかたっていないですが
理由はアメリカの暴落。アメリカ版日経平均にあたるダウ平均株価が前日比665ドル安と9年2ヶ月ぶりの下げ幅だそう。
理由はすごく簡単に言えばアメリカの雇用の指標が予想以上に良くて、景気の過熱が心配されたとか。普通に考えてなんで雇用が良くなったのに株が下がるのか謎ですが、みんな先読み先読みで動くからこうなるのだそう。仮想通貨でもそうでしょう?
実際仮想通貨を実生活で使ってるひと見たことないですし。みんな周りを出し抜こうと必死です。私も毎日必死です、、、

今回株についてお話しできたらと思います。
私はもともと某大手証券会社にいまして、今でも株とか経済とかの話は大好きです。仕事はそんなに好きではなかったですが…(*´・ω・)
その辺り少しお話しさせて頂きます。株とは~みたいな話はGoogle先生やwikipedia先生にお任せしますので、私なりの実体験ベースで行きます。

証券会社と言えば株屋さんというイメージが強いですが、今は日本株式なんて積極的に売りません。むしろ持っている株を売却提案しています。なぜか?順を追ってご説明いたします。まずは「株を売らない理由」から

株を売らない理由1.儲からないから。

日本株の売買は利幅が薄いです。株なんて正直どこで買っても同じですから、1999年からの株式売買手数料自由化によって価格競争が激しくなり、大手証券では売買の約1%程度が相場です。1%が高っかと思った方はよく勉強されていらっしゃいます。ネット証券では軒並み0.1%とかとかなので誇張じゃなく店頭証券会社(ネットを使わず電話やお店に行って注文を出すスタイルの証券会社)は10倍手数料が高いです。
そのぼったくり手数料をもってしても投資信託の販売手数料3.24%にはかないません。株をセールスするのも投信をセールスするのも同じ手間なら投信を売り込んだほうが3倍楽という訳です。
さらには投信には年間管理料とでも言うべき信託報酬という手数料も存在します。投信によって異なりますが高いもので2%近いものも。投信を運用している運用会社や事務手続きをする管理会社で発生する事務経費というのが手数料徴求の理由ですが、販売した会社にも一部入るという謎仕様。口座に持たせるだけで売った会社にも毎年毎年少しずつ手数料が入ります。

株を売らない理由2.ノルマがないから

証券会社には目標とか世間体を考慮しためんどくさい呼び名はそれぞれありますがようはノルマがあります。これがほんと馬鹿にならない。毎月余裕でこなすスーパー営業マンもいますがそれはごくごく一部。月初に数字がリセットされ、お客さんが買いたいときも買いたくない時も売らないとといけない営業マンは毎月死にかけながら、実際何人か半死になりながらこなしていきます。(大概店舗に一人二人はメンタル休職者がいました。)
私のいたところは収益とか投信とかの目標はありましたが、日本株の販売目標はありませんでした。気まぐれのようにキャンペーンをやる程度。会社としてもお金にならないものを売るより投信を売ってほしいのでしょう。営業員も好きでもない限り積極的に推進する理由もありません。ノルマでそれどころではありません。

補足:日本株はそうですが外国株は違います。外国株は当然外国通貨建てなので通貨を変えるときに手数料。買うときに日本株より割高な手数料を徴求しますので、なかなかの利幅になります。アメリカ株は日本株よりワイルドに動き、利ザヤが稼げますので米国株は大きな収益源でした。

続いて「株を売らせる理由」について

株を売らせる理由 ノルマをこなすのに新規に入金させるより楽だから

先ほどもご説明しましたが、株は持っているだけでは証券会社に一銭も入りませんが、投信は何もしなくても証券会社は手数料を得られますので投信を販売したがります。しかしながら今はネット全盛期。個人の株取引の9割はネットで行われる時代です。店頭証券会社に現役世代のお客様が新しく入ってくることは少なく、顧客層は著しく高齢化が進み、店頭証券会社の顧客層は70歳以上が3~4割という状況です。
www.nikkei.com
その貴重なお客様も歴代の証券マンのノルマに毎年付き合い、投信を購入してきた歴史があり、賃貸収入などまとまった収入でもない限り新たにお金を用意して投信を買ってくれることはなかなかない。そこで目がつけられたのが長年手放さず持っていたり、相続で入ってきた持ち株。売って投信買いましょというわけです。
もちろんお客様から渋られます。当然です。何かしら思い入れがあって買ったり、大事な人から残してくれた形見のような株。しかしこちらも必死です。課長は部下の担当顧客の資産状況を全部見てこの客のこの株何で売らせないんだ毎日詰め寄ります。行くも地獄、帰るも地獄。今思い出すだけでもやるせないですね。本当に嫌な仕事でした。

唯一の救いは私が営業していたころから株価が上昇し始めたので、当時販売したお客様の資産は今頃多少なりとも上昇しているだろうという点です。もちろん引き継いだ営業員に手数料の為、他の商品に買い替え推奨されてしまっている可能性も多いにありますが…

愚痴みたいなお話で申し訳ないです。
どこの業界でも厳しい競争の中、収益を構築するのは並大抵でなく、きれいなビジネスばかりではないかもしれません。
しかしながら金融業界の一部で行っているビジネスはその世間的に発信している誠実なイメージとは程遠いところにあります。
このブログで今後そういったことも私の知りえる限りでお話しできたらと思います。自分の懺悔もかねて。
ではでは